最近は昔ながらの大きなお仏壇を、おしゃれでコンパクトなものへ買い換える方が増えています。
住宅環境や家族構成が変わると、限られたスペースに大きな仏壇の置き場所に困ることも多いのではないでしょうか。
この記事では、
「お仏壇の買い替えする時に何か準備は必要?」
「古いお仏壇の処分はどうすればいいのかわからない」
「処分の費用はどれくらいかかるのか知りたい」
などの疑問について、買い替えを考えている方の参考になるように、決めておきたいことや注意点、お仏壇の処分方法を詳しく解説していきます。
お仏壇を買い替える理由やタイミングとは?
<破損や汚れなどが目立つ>
長い年月が経つと次第に破損や汚れが目立ってきます。
多少の傷みや汚れは専門業者で修理やリフォーム、クリーニングなどメンテナンスできますが、破損や汚れがひどい場合は買い替えた方が、費用の面などで負担の軽減につながる場合があります。
ただし、高価な金仏壇の場合は、買い替えよりも修理やクリーニングのほうが良い場合がありますので、見積もりをとってから判断されてもよいでしょう。
<お部屋の雰囲気に合わせたい>
最近の住環境の洋風化にともなって、重厚で伝統的なお仏壇ではお部屋の雰囲気やインテリアに馴染まないと感じる方が増えています。
そのため、お住まいの新築やリフォーム、お引っ越しなどのときに、リビングやダイニングに置いても違和感の無いお仏壇の買い替えを検討されるようです。
<お仏壇を置くスペースの確保ができない>
住まいや家族構成の変化によっては、部屋のスペースに制限が出てくる場合があります。
例えば、親との同居、親が老人ホームなどに入ることになった、ご両親が亡くなられたなどの理由でお仏壇を引き継ぐ場合などに、サイズ的に置く場所を確保するのが難しいなどです。
<終活のタイミング>
将来的にお仏壇の面倒を見られなくなった場合のことを考え、買い替えるという方もいらっしゃいます。
大きくて豪華なお仏壇はメンテナンスや処分が大変なため、早いうちから小さなものへ買い替えておきたい、また自分が亡くなった後、遺されるご家族の負担を減らしておきたいという理由からです。
お仏壇を買い替える前に決めておきたいポイント
ここでは先に決めておくと、お仏壇を買い替える際にスムーズにいくポイントを解説します。
置き場所
まずは、和室か洋間に置くのか、畳やフローリングに直置きするか、または家具の上に置くかなど設置する場所を決めていきます。
最近は、リビングにお仏壇を置くご家庭が増えていますが、どこに置くにしても部屋の入り口付近より奥というように、落ち着いてお参りしやすい場所を選びましょう。
方角に決まりはありませんが、一般的に北向きには置かない傾向があるようです。
【チェックポイント】
- 家族が集まる場所
- 毎日のお参りが快適に行える場所
- お手入れがしやすい場所
- 神棚の向かい合わせや真下にならない場所
- 上座である床の間の向かい合わせにならない場所
- 直射日光の当たらない風通しのよい場所
設置する場所が決まったら高さ・幅・奥行きを測り、写真も撮影しておくと実際購入する時に便利です。
ご本尊や位牌・仏具の買い替えについて
お仏壇を買い替える場合、ご本尊や位牌はそのまま使うか、お仏壇に合わせて新しくするか考えておくと移行がスムーズです。
既存のご本尊や位牌を引き続き使いたい場合は、しっかりとサイズを測って収まるお仏壇を探しましょう。
新しいお仏壇の大きさによっては、引き継ぐのが難しくなると思われますが、その場合は作り替えることもできます。
小さいものにしたり、位牌の場合は「繰出位牌・回出位牌(くりだしいはい)」といって箱型の少し大きめの位牌で、内部に複数の札が収納できるものにまとめたりすることも可能です。
ご本尊や位牌を新しく買い替えた場合は、供養する必要があるので、菩提寺(先祖代々のお墓のあるお寺)に依頼します。
お付き合いのあるお寺がない場合には、仏壇店に相談してみましょう。
なお、仏具も既存のものを使用しても問題ありませんが、こちらもお仏壇のサイズによっては収まらない場合があるので、新しいデザインに合わせた仏具にするのもおすすめです。
お仏壇の買い替えで注意すべきポイント
古いお仏壇は処分する前に供養するのが正式とされています。
仏教では、仏様やご先祖様の魂が宿られたままのお仏壇を処分することはタブーとされているため、僧侶にお経をあげていただき、魂を抜くための儀式「魂抜き(性根抜き(しょうねぬき)、「閉眼供養(へいがんくよう)」を行います。
また新しいお仏壇を家に置くときには、「魂入れ(性根入れ(しょうねいれ)、開眼供養(かいげんくよう)」の儀式を行いますが、これによりお仏壇に仏様やご先祖様の魂が宿るとされています。
ただしお寺によっては、供養はご本尊や位牌に対して行うものであり、お仏壇の買い替えのみであれば行う必要はないという考え方もあるようです。
なお、浄土真宗では魂という概念がないため、言い方は違いますが、入仏法要(にゅうぶつほうよう)・遷仏法要(せんぶつほうよう)という独自の儀式が行われます。
その際、お寺にお渡しするお布施についても、宗派や地域によって異なります。
分からないときや不安な場合は、菩提寺や、仏壇店などにまずは相談してみましょう。
お仏壇を処分する4つの方法と費用相場
元の仏壇を処分する場合、どのように処分すればいいのか具体的にみていきましょう。
菩提寺に相談する
お仏壇は、魂抜きの後にお焚き上げの処分をしていただける場合があるので、菩提寺があればまず相談してみることをおすすめします。
ただ、現代では防災や環境への配慮からお焚き上げを実施できない地域も多く、お断りされてしまうこともあるようです。
また、引き取ってもらう場合には、お布施という形になるため、費用に関する明確な決まりはありません。
お寺によって支払うべき金額は異なるので、事前に尋ねておいた方が無難でしょう。
仏壇仏具店のサービスを利用する
新しいお仏壇への買い替え時には、購入店で古いお仏壇の引き取りを依頼するのも一つの方法です。
多くの仏壇仏具店では、お仏壇の引き取りサービスを行っています。
処分には費用がかかりますが、新しいお仏壇を購入すると割引があるところも多く、また、店舗によってはお仏壇の搬出から行ってくれるところもあります。
処分費用の相場はお仏壇のサイズや搬送距離によって異なりますが、20,000円〜80,000円程度です。
仏壇仏具店で引き取ってもらったお仏壇は、合同供養としてお焚き上げを行うのが一般的です。
菩提寺が遠い場合や、お仏壇を引き取ってもらえるお寺が無い時などは、仏壇仏具店に相談してみてはいかがでしょうか。
自治体に依頼する
供養を終えたお仏壇は、単なる木の箱になりますからゴミとして処分することは問題ありません。
ただし、自治体によってはお仏壇を回収しない場合があったり、分類や処分方法が異なります。
粗大ゴミの場合には、費用相場は500円〜2,000円ほどで比較的格安でできるようですが、自治体のホームページや役所にてご確認ください。
また、大変ですが解体してしまえば、燃えるごみとして無料で処分することもできます。
ほかの処分方法と比べると費用面では格段に安く済みますが、信心深い方には抵抗があると思います。
ご近所の人の目に付くこともあり、トラブルが起きる可能性もありますので、慎重に検討しましょう。
専門業者に依頼する
上記の方法でお仏壇を処分できない、あるいは粗大ゴミとして処分することに抵抗がある方は、回収業者に委託しましょう。
お仏壇を引き取りの対象にしている引っ越し業者や不用品引き取り業者、お仏壇の処分を専門に行っている業者もあります。
仏壇処分の専門業者に依頼する場合でも、魂抜きの供養について念のために確認しておくとよいでしょう。
費用相場は、業者によって異なりますが回収のみの場合は5,000円〜10,000円、供養を含める場合は20,000円〜70,000円程度です。
なるべく複数の業者に相見積もりをとり、比較することをおすすめします。
まとめ
ここまでお仏壇の買い替えについての注意点や処分方法などについてお伝えしてきました。
最後に主なポイントを一緒におさらいしてみましょう。
【お仏壇を買い替える理由やタイミングとは?】
- 破損や汚れなどが目立つ
- お部屋の雰囲気に合わせたい
- お仏壇を置くスペースの確保ができない
- 終活のタイミング
【お仏壇を買い替える前に決めておきたいポイント】
- 置き場所
- ご本尊や位牌・仏具の買い替えについて
【仏壇の買い替えで注意すべきポイント】
仏教では、仏様やご先祖様の魂が宿られたままのお仏壇を処分することはタブーとされているため古いお仏壇を処分する前に「魂抜き」の儀式を行い、新しいお仏壇を家に置くときには「魂入れ」の儀式を行う
*浄土真宗では入仏法要・遷仏法要という独自の儀式が行われる
【お仏壇を処分する4つの方法と費用相場】
- 菩提寺に相談する・・お布施という形
- 仏壇仏具店のサービスを利用する・・20,000円〜80,000円
- 自治体に依頼する・・500円〜2,000円
- 専門業者に依頼する・・回収のみ5,000〜10,000円、供養を含める場合20,000円〜70,000円
お仏壇もライフスタイルにあわせ新しくすることは自然なことではないでしょうか。
大切なのはご先祖様や仏様を敬い供養する気持ちですから、形式にとらわれずに想いを受け継いでいきたいものですね。
これらの情報が少しでもお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。