お仏壇は人生で何度も購入するものではないですよね。
そのため、いざお仏壇を選ぼうと思っても、何がどう違うのかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、
- お仏壇はいつ購入するものなのか知りたい
- どこに置けばいいのかわからない
- どんなお仏壇を選べばいいのか悩む
などの疑問について、初めて購入される方にもわかりやすく解説します。
買って失敗したとならないように、購入前にお仏壇の選び方の重要なポイントをおさえておきましょう!
お仏壇はいつ購入するものなの?
お仏壇は、いつ買わなければならないという決まりはありません。
ただ、身近な方が亡くなり供養のために購入される場合は、四十九日の法要までに用意するのが望ましいとされています。
これは、葬儀の際に用いられる仮の位牌(白木位牌)を四十九日の法要のときに本位牌に変えるタイミングに合わせて用意するためです。
余裕がなかった場合などは、一周忌やお彼岸、お盆などの法要に合わせて購入しても大丈夫です。
また、お仏壇は、不幸があった時にだけ購入するものではありません。
本来はご本尊を安置してお参りするための祭壇ですから、位牌を置かずに生前に購入する方もいらっしゃいます。
例えば仕事で昇進したときや長年の念願が叶ったとき、子どもが生まれたタイミングなどに、ご先祖様に感謝するため購入することもあります。
その他にも家の購入やリフォーム、引っ越しなどがきっかけになることも。
ご家庭ごとに事情もさまざまですから、それによって必要な時期に本当に納得のいくお仏壇をじっくり選ばれることをおすすめします。
選び方のポイント1:お仏壇を置く場所
まずは、お仏壇をどのお部屋のどの場所に置くのかを決めましょう。
ここでは定番の置く場所や、避けるべき場所などの注意点を説明します。
おすすめの置き場所
明確な決まりはありませんが、一般的に一番お勧めの場所は、専用の場所である仏間となります。
最近は仏間がない住宅が増えているため、家の中の上座とされている床の間や、人が多く集まり賑やかな居間、リビングも適した場所とされています。
大切にしたいのは、毎日のお参りとお手入れがしやすい所に置くことです。
ご先祖様に喜んでいただけそうな場所を選ばれると良いでしょう。
宗派による置き場所(向き)の考え方
仏壇の向きは、宗派の考え方によって異なります。
また、仏様はどの方角にもいらっしゃるので設置する方角に吉凶はありませんが、一般的に北向きは避ける傾向があるようです。
<浄土真宗・浄土宗・天台宗>
ご本尊の阿弥陀如来は西方浄土にいらっしゃるとされることから、西に向かって拝めるように、仏壇を東向きに設置するのが良いとされています。
<曹洞宗・臨済宗>
お釈迦様が説法をする時に、南向きに座っていたという逸話から南向きに置くことをすすめています。
<真言宗>
拝む方向の延長線上に、総本山である和歌山県の高野山金剛峯寺がある方向に仏壇を置きます。
そのため、住む場所によって向きが決まります。
<日蓮宗>
特別どの方角に向けて置くということはなく、自由に置いても良いとされています。
避けたい置き場所
神棚がある場合、向かい合わせとなる場所、もしくは神棚の真下は避けた方が良いでしょう。
なぜなら神棚と向かい合わせにすると、どちらかを拝むときに、片方には背を向けることになりますし、神棚の真下に置いた場合は、神棚に手を合わせている間、お仏壇を見下ろす形になるからです。
また、床の間の向かいに置くのは下座となるためおすすめできません。
さらに、直射日光や多湿な場所に置くのも避けた方がよいでしょう。
お仏壇の木材や装飾として使っている金箔や蝶貝などが、乾燥や湿気によるひび割れを起こしてお仏壇自体が壊れてしまうこともあるため注意が必要ですよ。
設置場所が決まったら、その場所の幅・奥行き・高さなどを採寸します。
お仏壇は扉を開いた状態で飾るのが一般的なので、扉の分のスペースも考慮し多少の余裕を持たせてお仏壇の大きさを決めるとよいでしょう。
なお、お仏壇によって収納できる位牌の数が異なりますので、すでに位牌がある場合は、仏壇内部の奥行きや高さにも考慮が必要です。
選び方のポイント2:お仏壇の材質の種類
お仏壇の材質の種類は大きく分けて3つのタイプがあります。
ここではそれぞれの特徴についてご紹介します。
金仏壇
お仏壇といえば、真っ先に連想するのがこの金仏壇ではないでしょうか?
金仏壇は、蒔絵(まきえ)、彫刻、錺金具(かざりかなぐ)などの日本古来の伝統工芸の技法が集約されており金箔・金粉と漆で仕上げられた豪華さが特徴です。
漆を塗って作るため、地域によっては「塗り仏壇」とも呼ばれています。
伝統的な金仏壇は各工程が細分化されていて、その伝統を受け継ぐ産地では多くの職人が活躍しています。
金箔・金粉の量や純度、漆を塗る回数、彫りの精巧さなどによって、価格に影響してきます。
金仏壇は浄土真宗のご本尊である「阿弥陀如来」の極楽浄土の象徴とされることから、浄土真宗で用いられることが一般的ですが、他の宗派の方が置いても問題ありません。
唐木(からき)仏壇
唐木仏壇は、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)などの輸入銘木(めいぼく)や、ケヤキや桑などの国産の銘木(特殊な風趣をもつ高価な木材)を使い、美しい木目を生かした風合いが特徴です。
江戸時代に培われた工芸技術が生かされていて、日本の風土を反映した味わい深い雰囲気を持つお仏壇となります。
唐木仏壇は様々な材料・工法で作られており、その違いによって値段や価値が大きく変わります。
唐木仏壇は主に、浄土真宗以外の宗派で使用しますが、本来金仏壇を用いる浄土真宗の方もお手入れが大変なことから、唐木仏壇を用いる方もいらっしゃいます。
モダン仏壇
家具調仏壇、インテリア仏壇、都市型仏壇とも呼ばれているモダン仏壇は、現代の生活様式に合うようにインテリア性を重視したお仏壇です。
一見家具のように見えるものや、デザイン性が高い仏壇が多く、洋間・和室を問わず置けることから購入される方が増えています。
また、コンパクトで置く場所を選ばない商品も多いので、様々なサイズから故人の好みやイメージに合ったものを選ぶことができます。
材質は、洋家具で使われるウォールナット、ナラ、ブナ、メープル、マホガニーなどを使用し、明るく自然な感じの色調のものが多いのも特徴。
お手入れがしやすい、収納などの機能性が重視されているのも魅力のひとつで、宗派を選ばない自由さなどから幅広く支持されています。
選び方のポイント3:お仏壇の形やサイズ
お仏壇はその形やサイズによっても分類することができます。
どのタイプにするかは設置する場所や、お参りの仕方によっても検討してみてくださいね。
<床置きタイプ>
床置きタイプは台付き仏壇とも呼ばれる、高さが 106センチ〜173センチ位のオーソドックスなものです。
仏間や床の間などに置くタイプで、座って落着いてお参りができます。
<地袋付仏間用タイプ>
地袋付仏間用タイプは、仏間の地袋(床面に接してつくられた低い戸棚)に置くことを想定して設計された高さが88センチ〜131センチ位のお仏壇です。
地袋だけではなく高さ20センチ〜30センチ位の低い台に置くこともできます。
<上置きタイプ>
上置きタイプは、高さ36センチ〜88センチ位のもので、タンスや棚などの家具の上、押入れの上半分スペースなどに置くお仏壇です。
お仏壇を置くスペースがあまり取れない時や、脚が悪くて正座してお参りできない方などに適しています。
<ミニ仏壇>
上置きタイプよりさらに小さいサイズのお仏壇です。
家具と一体型のものや壁に掛けられるタイプ、写真立てのようなタイプなどさまざまな種類があります。
お仏壇を置くスペースに余裕がない場合や、インテリアの一部として置きたい方に向いています。
選び方のポイント4:お仏壇の価格
それでは、お仏壇は一体いくら位のものを買えばよいのでしょう?
昔は、家の建築費の何%とか年収の何%といった目安があったようですが、現在はそのようなことはありません。
使用する木材の量や材質、形、サイズ、工法の手間ひまなどから価格は異なりますが、お仏壇本体は、5万円程度から数100万円と幅広い価格帯が用意されています。
なお、お仏壇の産地によっても価格は変わり、外国産の方が日本産よりも人件費が抑えられることから安いことが多いです。
伝統的なお仏壇の方が高価な傾向にありますが、一般的な相場は以下のとおりです。
・金仏壇:上置き仏壇30万円~100万円、台付き仏壇70万円~200万円くらい
・唐木仏壇:上置き仏壇10万円~50万円、台付き仏壇50万円~150万円くらい
・モダン仏壇:上置き仏壇5万円~30万円、台付き仏壇20万円~80万円、壁掛け仏壇10万円~50万円くらい
また、お仏壇には仏具が必要となりますので、表示価格はお仏壇だけの値段なのか仏具込みの値段なのかを確認しましょう。
なお、安いお仏壇を買うのならネットショッピングという手もありますが、できるだけ実物に触れて大きさや素材を確認し、イメージに合うものを選ぶことが大切です。
お仏壇を置かないという選択はある?
年々、住宅事情にあわせた新しいタイプが登場していますが、さまざまな事情によりお仏壇が必要か考えているご家庭も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
お仏壇はもともと、それぞれの家でご本尊をまつり、お寺を模した小さなお寺としてお参りするものでした。
現代では、ご本尊と同時にご先祖様や故人をまつり、供養する大切な場所です。
そのためお仏壇へ手を合わせることはお寺参りの意味と同時に、ご先祖様への感謝を表す場としての役割があるといえるでしょう。
ただし仏壇が置けない場合でも、位牌や写真、思い出の品などを飾るスペースを作ったり、手元供養などで供養することができます。
ここ数年のあいだに広がりをみせている手元供養とは、遺骨をお墓に納めるのではなく、自宅などに置いてご供養する方法です。
具体的には、故人を身近に感じることができるよう遺骨や遺灰を、ミニ骨壷やブレスレット・ペンダント・指輪などのアクセサリーに納めて供養します。
あまり場所をとらないため、ご自宅の中にお仏壇を置くスペースがない方や、お墓や納骨堂が遠かったり、購入を控えたいと考えている方にも選ばれています。
しかし、ご親族から理解を得ることが難しい場合や、災害時の対応、紛失するリスク、ご自身が亡くなった後の管理などの問題もありますので、いろいろな状況を検討した上で選ばれることをおすすめします。
まとめ
今回は、お仏壇の選び方の重要なポイントについて解説させていただきましたが、お仏壇を探す参考になりましたでしょうか。
最後に大切なポイントを一緒に振り返ってみましょう。
【お仏壇を置く場所】
<おすすめの置き場所>
専用の場所である仏間、家の中の上座とされている床の間、居間やリビングなど
毎日のお参りとお手入れがしやすい所に置くことが大切
<避けたい置き場所>
- 神棚と向かい合わせとなる場所、もしくは神棚の真下
- 床の間の向かい
- 直射日光や多湿な場所
【お仏壇の材質の種類】
- 金仏壇
- 唐木仏壇
- モダン仏壇
【お仏壇の形やサイズ】
- 床置きタイプ
- 地袋付仏間用タイプ
- 上置きタイプ
- ミニ仏壇
【お仏壇の価格】
- 金仏壇:上置き仏壇30~100万円、台付き仏壇70~200万円くらい
- 唐木仏壇:上置き仏壇10~50万円、台付き仏壇50~150万円くらい
- モダン仏壇:上置き仏壇5~30万円、台付き仏壇20~80万円、壁掛け仏壇10~50万円くらい
大切な意味をもつ仏壇ですが、何を重視して選ぶのかは人それぞれだと思います。
シンプルなお仏壇を選んだから仏様、ご先祖様に失礼ということはありません。
最適なお仏壇を選べるよう参考にしていただけたら幸いです。