先祖供養のマナーとは?作法や間違った考え方についても解説

先祖供養 マナー1

お墓参りや法要、法事など先祖供養をするための行事に誘われるということがありますよね。

少し昔であれば、先祖供養のお墓参りや法事はとても身近なものでした。

マナーや作法などは親、祖父母が教えてくれるということも多かったですが、近年では生活環境の変化などから先祖供養のやり方そのものが分からないということも珍しくはありません。

そこで、本記事では様々な先祖供養の場面で役に立つ「マナーや作法」と合わせて、先祖供養における間違いについても解説していきます。

ぜひ本記事を参考にして頂いて、正しく先祖供養を行ってあげてくださいね。

目次

お墓参りに関するマナーや作法とは?

お墓参りをすることも先祖供養の代表的な方法の1つですが、宗派によって多少の違いはあるものの、マナーや作法と呼ばれるものがあります。

正しくご先祖様を敬うという意味でも、出来る限り昔から引き継がれた習慣は引き継いでいきたいものです。

ここでは、お墓参りに関するマナーや作法についてQ&A方式で解説しています。

※宗派や地域によっては必ずしも共通するものではありませんのでご了承ください

Q.お墓参りでの服装に関するマナーはある?

A.お墓参りをする時に共通して決められた服装というものはありません。

ただし、あまり派手な格好やラフ過ぎるものはふさわしくないと言われています。

必ず正装をしなければいけないというルールはありませんが、身支度としてはシンプルですっきりとしたものが好ましいでしょう。

Q.お墓参りでは具体的に何をするの?

先祖供養 マナー1

A.お墓参りをする時に、欠かせないのは「掃除」と「お祈り(合掌やお参りとも言います)」です。

お墓が置ける場所や建てられる場所は、地方自治体によってルールが定められているのですが、ほとんどが山間部や決まった敷地の中に限られています。

毎日お墓参りをすることは流石に難しいですから、お墓に行くと敷地内や墓石、お供え物などが汚れてしまっていることがほとんどです。

まずはこれらを片付けたり掃除をすることから始まります。また、お墓の掃除をする前には「合唱礼拝」を行います。

お墓や周辺のお掃除手順

お墓の中で掃除をするのは、墓石や生花の水換え、花の入れ替え、敷地内の枯れ葉やゴミの除去、雑草の片付けなどです。

墓石は濡らしたタオルや柔らかいスポンジなどで磨いて汚れを落とします。

花を入れる容器の水はお盆などは湯だっていることもあるので、お水を新しく入れ替えます。

敷地内の枯れ葉やゴミはゴミ袋に入れて、墓場の決められた場所に捨てる、そういった場所がなければ持ち帰るようにしましょう。

お供え物をする時のマナーや作法

お墓参りでは先に掃除を終わらせてからお供え物を新しくするのが一般的な順序です。

お墓の左右にお供えをする仏花は、バランスにも気を配ります。

お菓子や季節のフルーツ、飲み物をお供えする時には新品の半紙の上に置くようにします。

お祈り(お参り)をする順番の作法とマナー

お墓の敷地を含む全体の掃除とお供え物の入れ替えが終わったら、香炉にお香を立てるか横にして置きます。

ちなみに、お香に付けた火は口の息ではなく、手を扇いで消すのが1つの作法です。

※地域によってはロウソクなどを立てることもありますが、火を消す時にも口の息は使いません。仏教の考え方の1つで、口からは悪行や災いが出されるとされているからです。

お線香を炊いたら、お墓の故人に縁の深い、近親者から順番にお参りします。

予め、柄杓と水を準備しておき、お墓の上からお水を流してお墓の正面に立って合掌して先祖供養をしましょう。

全員が合掌してお参りをしたら「お墓参りによる先祖供養」は完了です。

※地域によっては、お供え物にした果物や飲み物、お菓子などは持ち帰ります。

法要に出席する時のマナーや作法とは?

故人との縁が深かったり、生前の交流が多かったりすると、法要に招待されることもあります。

法要の場所はお寺さんや自宅など様々ですが、血縁がなくとも供養に参加することによって、自身の徳を積んだり、自身の先祖供養をする時には徳を分け与えることが出来るとされています。

法要の招待は主にハガキが主流となっています。

Q.出席・欠席におけるマナーとは?

A.招待を受けた法要に関しては、よほどの特殊な事情が無い限りお断りするのはマナー違反とされています。

また、どうしても出席出来ない場合には、出来る限り早期にお返事を出すのも大切です。

血縁者以外にも招待を出す法要では、主催側(施主側)が様々な準備をしていることも多いので、失礼にあたらないように対処することが大切です。

Q.出席出来ない時のお供え物や供物料はどうする?

A.どうしても法要の当日に都合が合わないなどの場合には、お供え物や供物料を郵送するという方法もあります。

ただし、招待を受けた法要当日に出席出来なくとも、後から施主のご自宅などに挨拶に行くのも作法の1つです。

後日訪問する場合には、お仏壇などでしっかりと供養をしましょう。

Q.法要に出席する時に持参すべきものとは?

先祖供養 マナー1

A.招待された法要では、主催場所によって持参するものを変えることが多くなってきました。

一般的にはお線香やお菓子、果物、生花などですが、お寺などで開催される場合には供物料などの現金を持参することもあります。

気持ちの問題ではありますが、招待されている場合には、施主側に気を使わせない程度のお供え物や供物料に留めておくことも作法の1つです。

Q.仏式と神式によくある間違い

A.法要は仏教だけで行われるものではなく、神式と呼ばれる形式の場合もあります。

よくある間違いとしては「供物料」の表書き部分の表記方法です。

仏式と神式では、表書きの内容が異なりますので、混同しないように注意しましょう。

仏式の供物料に関する表書きの例

  • 「御香典」
  • 「御供物料」
  • 「御香料」
  • 「志」

また、連名で出す場合には3名までというルールもあります。

神式の供物料に関する表書きの例

神式の場合では以下のような表書きが主に使われます。

  • 「御玉串料」
  • 「御神饌料」
  • 「御榊料」
  • 「御神前」
  • 「御悔」

また、神式では仏式の不祝儀袋は使用しないことも大切なマナーです。

Q.法要に参加するときの服装にマナーや作法はある?

A.法要に参加する服装は、地域などで異なる場合がありますが、忌明けと呼ばれる四十九日までの間であれば、葬儀などに着る喪服が主流です。

基本的には1年間が喪中となるので、忌明け法要でも喪服に近いものを着るのが一般的なマナーです。

逆に、法要の回数が増していくと、一般的な服装に切り替えていくのが作法とされます。

お墓参りの服装にも似ていますが、あまり派手な服装で出向くのは間違いです。

また、男性は赤色が混じることを避けるなどの配慮も必要になってきます。

Q.法要当日や拝礼に関するマナーや作法とは?

A.法要に出向くときには、時間厳守や挨拶は当然のことながら、しっかりと供養をする気持ちで過ごすことがもっとも大切です。

当日、持参したお供え物や供物料は、入口や受付で施主の方に渡すのが一般的なマナーです。

また、拝礼の時の作法も仏式と神式では異なります。

仏式で拝礼する時の作法とは?

仏式では参列者が順番にご焼香をするのが習わしで、ご焼香の順番は縁の深い家族単位で順番に行います。

読経が始まったら仏前に正座をして、施主に一礼、正面にも一礼します。

ご焼香の回数は宗派などによって異なりますが、2回か3回です。

香炉に指先で軽くつまんだ抹香を入れて、合掌をしてから頭を下げて供養しましょう。

終わったらもう一度施主に向かって一礼してから、席に戻ります。

他の参列者の拝礼が終わったら、法話などがある場合もありますので、静かに聞き届けましょう。

お話の最後に合掌をすることも忘れないようにしましょう。

神式で拝礼する時の作法とは?

神式の礼拝では、参列者が玉串を捧げる場合と、遺族のみが玉串を捧げる場合があります。

神式で拝礼をする時の基本的な作法は二礼二拍手一礼です。

文字通り、2度の礼、2拍手、1礼をします。

作法上の注意点として、喪中にあたる1年目までは拍手は音を立てないように、しのび手と呼ばれる音を立てない方法で行います。

先祖供養における大きな間違いとは?

先祖供養 マナー1

先祖供養は現代でも様々な形で行われていますが、やはり中には間違った先祖供養をしてしまうこともあるのです。

逆に「絶対的に正しい先祖供養」というものも存在してないと言われています。

先祖供養という習慣には様々な文化が混じり合いながら続いてきた側面があり、宗教によっても考え方や習わしそのものが変わってくるのです。

ただし、間違った先祖供養と呼ばれる行為については共通して認識されているものもあります。

現世の不幸をご先祖様の責任にする先祖供養

人間が生きていれば様々な悩みや問題を抱えることがあり、今この瞬間にも困っている人は数え切れないほど存在しています。

しかし、今自分が抱える不幸の責任をご先祖様に向けてしまうのは、代表的な間違いだとされています。

少し噛み砕くと、「自分の不幸の原因は先祖の悪行にある」といった考え方や「今の自分の不幸はご先祖様にある」という考え方から始まる先祖供養を指します。

少しスピリチュアル的なこの考え方にも様々なものが存在していますが、「子孫(現代の自分)を苦しめるご先祖様はいない」という考え方もあるのです。

逆に、現実主義とも言えるビジネス哲学の1つには「原因と結果の法則」がよく知られています。

これは、英国人作家ジェームズ・アレンという方が1902年に著作したものですが、非常に有名です。

この原因と結果の法則では、「自分をとりまく環境という“結果”は、自分の思いという“原因”が作り出したものである」という自己責任論の考え方が中心に紹介されています。

さらに「結果とは自分の行動や思考によって生まれたものであり、そこに偶然性などの介在はない」と主張されているのです。

こういった原因と結果の法則をどうやって受け止めるかは個人の価値観ではありますが、少なくとも先祖供養において間違いとされる「責任転嫁」と通じるものがあるのではないでしょうか?

まとめ

今回は先祖供養という行事においてのマナーを始め、作法や間違いだとされる考え方などを紹介してきました。

マナーや作法はそれぞれの環境によって作られたものですが、心から先祖供養に取り組むためにも、一通りは知っておくべきものであると言えるでしょう。

現在では、様々な理由によって先祖供養を定期的にすることが難しくなったり、「墓じまい」などをせざるを得ない家庭なども増えてきています。

どうしても形式的な部分に囚われがちになる先祖供養ですが、最終的には自分自身を律するためのマナーや作法が大切だと言えるのではないでしょうか?

この機会に先祖供養の在り方や、取り組む上での姿勢を見直すきっかけになればと思います。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。

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