実は、命日には「祥月命日(しょうつきめいにち)」と「月命日(つきめいにち)」の2種類があることをご存知でしょうか?
なんとなく聞いたことがある方も、本当の意味や、具体的にどのように過ごせばよいのか、わからない方もいらっしゃると思います。
そこで、今回はそれぞれの意味や過ごし方、供養の方法などについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「命日」「祥月命日」「月命日」の意味とは
命日とは、故人が亡くなった日のことで、翌年以降の亡くなった同じ月日が祥月命日です。
例えば、4月1日に亡くなられた方は、毎年4月1日が祥月命日にあたりますが、1年に一度ということになります。
なお、4年に一度の「うるう年2月29日」にお亡くなりになった場合、うるう年でない年は、2月28日を祥月命日とすることが多いようです。
月命日とは、亡くなった日と同じ日を指します。
「月忌(がっき)」という呼び方もあり、亡くなられてから最初の月忌は初月忌(初命日)とされます。
祥月命日は1年に一度だけですが、月命日は、祥月命日を除いた毎月、つまり年に11回あるということになりますね。
例えば、4月1日に亡くなった場合、祥月命日は毎年4月1日、月命日は4月1日を除く毎月1日です。
もし、亡くなった日が、うるう年の2月29日の方は、うるう年ではない年は28日、また31日が命日の方は、30日までしかない月には、30日を月命日とすることが一般的となっています。
祥月命日にすること
それでは、祥月命日にはどんなことをするのでしょうか?
お住まいの地域やご家族、宗教などによってさまざまな違いがあると思いますが、一般的に行われることをご紹介します。
法要をおこなう
決まった年の祥月命日に、年忌法要を行うことが日本の仏教においては一般的です。
しかし、近頃は親族で集まる機会も減り、いつどのように年忌法要を行うのか知らない方も多いのではないでしょうか。
法要とは、遺族や故人と親交のあった方々が参列し、僧侶による読経や、参加者が焼香をする仏教的な儀式です。
仏教では、遺族が冥福を祈って供養することで、無事に極楽浄土の世界まで辿り着けると考えられています。
亡くなって1年目の年に行う「一周忌」を始めとして、2年目に「三回忌」があり、それ以降は七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、と一の位が三と七になる節目の年に行います。
一般的に「弔い上げ(個人的な法事を終了し先祖代々の霊と一緒に弔うことにする節目の法要)」となるのは三十三回忌や五十回忌とされていますが、近年では一回忌、三回忌、七回忌、十三回忌、三十三回忌のみが行われることが多く、規模が縮小される傾向にあります。
どのように行うかは家族や親族の方とよく相談してみましょう。
また、祥月命日に法要を行うことが理想ですが、平日に当たる場合や、親族とのスケジュールの関係で、その日に行えないことがあります。
その際は、命日の1ヶ月前からの前倒しにするのが良いとされています。
また、法要の後に会食し供養する儀式を「法事」と言います。
故人が亡くなって直後の会食とは違い、より穏やかな雰囲気の中で故人との生前の思い出話ができそうですね。
なかなか普段会えない親族と絆を深めたり、皆さんで故人に想いを馳せることが良い供養になることでしょう。
お墓参りに行く
祥月命日の日には、お墓参りをして故人の冥福を祈りましょう。
決まり事ではありませんが、ご家族で訪れたら故人の方もとても嬉しいのではないでしょうか。
お墓にお供えするお花、線香、ロウソク、お供え物、火を付ける道具、清掃用具などを持参します。
普段なかなかお墓参りに行けない方は、この機会にお墓を丁寧に掃除することをおすすめします。
綺麗になったお墓の前で、線香やお供え物をあげ感謝の気持ちを伝えましょう。
お墓が遠方にあるなどの事情から祥月命日に合わせてお墓参りが難しい場合には、前倒しで行くのが良いとされています。
それも難しいという場合は、お盆や年末年始、ゴールデンウィークなど帰省のタイミングなどに合わせてお参りすることを心がけましょう。
また、お墓参りに行けなくても、ご自宅で仏壇や位牌、遺影などにお花や食べ物を供えて供養することもできます。
塔婆供養を行う
法要にあわせて、「塔婆(とうば)供養」を行う場合があります。
塔婆(または卒塔婆(そとば))とは、お墓の背後に立てる、細長く薄い板ですが、これを立てることで故人の成仏を願い、故人の冥福に繋がると考えられています。
塔婆供養を行うときは、法要を頼む際に一緒に塔婆も頼んでおきましょう。
ただし、絶対に立てないといけないという訳ではありません。
お墓になかなか行けない場合には、古い塔婆の管理や手入れをしてくれる寺院もあるので尋ねてみるのもよいでしょう。
また、浄土真宗だけは塔婆を使用しませんので、注意が必要です。
仏壇の掃除をする
日頃のお手入れは、毛ばたきなどでホコリを払い落とすだけでも構いませんが、ご先祖様に感謝する意味でも仏壇は定期的に掃除してキレイに保つことが大切です。
祥月命日には、普段しないような細かい所まで掃除しましょう。
決まり事ではありませんが、習慣にすることが望ましいです。
祥月命日やお盆、お彼岸、年末年始などのタイミングに合わせると忘れずに掃除することができますね。
最初に、ご本尊とご先祖様へ手を合わせ仏壇の掃除をすることをお伝えしましょう。
次に、納められている仏具を取り出す前に、仏具の配置の写真を撮影しておくことをおすすめします。
取り出したあとは、仏壇の内側、外側のホコリを払い、柔らかい布で優しく丁寧に乾拭きします。
隙間にたまっているホコリは、仏壇掃除用の筆や綿棒を使って落としましょう。
仏壇は湿気に弱いので、決して濡れた雑巾では拭かないこと、また、洗剤やアルコールスプレーなども使用しないことがポイントです。
取り出した仏具を柔らかい布で拭き終わったら、仏具を元の位置に戻します。
仏壇は大きく分けて金箔が施され漆が塗られた「金仏壇」と、唐木製の「唐木仏壇」がありますが、特に注意が必要なのが「金仏壇」です。
「金仏壇」は、 金箔に少し触れただけでも剥げてしまったり指紋が取れなくなる可能性が高いため、 金箔や金具の部分は絶対に触れないように気をつけましょう。
もしご自分で掃除をするのが不安な場合には、 専門業者に頼んだ方が安心ですね。
掃除が終わったら、手を合わせて掃除が終わったことを報告します。
仏壇をキレイに保てるのはもちろんですが、仏壇に触れる機会が増えることで、ご先祖様を身近に感じることができるでしょう。
月命日にすること
月命日には、祥月命日のように遺族が集まって法要などをすることはありません。
ただ地域によっては、初月忌(初命日)に月忌法要を営むところがあります。
例えば、5月1日に亡くなった場合、1ヶ月後の6月1日、5月31日に亡くなった場合、6月30日に行われます。
ご家庭によってさまざまな過ごし方があると思いますが、祥月命日と同じくお墓や仏壇をきれいにして、故人が好きだったお花や食べ物などをお供えし、お線香を上げて供養することが多いようです。
お墓参りをする場合の服装も特に決まりはないので、落ち着いた普段着でも構いません。
月命日にお墓参りに行けない場合は、都合のつく日で構わないので、故人を供養したいという気持ちを大切にしましょう。
月命日の供養はいつまで続けるのか
月命日は、祥月命日のように年忌法要を行わないため、弔い上げという供養の区切りがありません。
それでは、月に一度の供養を、いつまで続ければよいのかと思うかもしれませんが、明確な決まりはありませんので、遺族の方々の気持ち次第ということになります。
月命日は毎月ずっと続くものですから、あくまで故人を思い出すきっかけと捉えても良いかもしれませんね。
一番大切なのは、故人を偲び感謝の気持ちと共に思い出すことだと思います。
命日にやってはいけないことはあるの?
喪中の期間中は祝い事などの参加や主催は行わない方が良いと考えられていますが、特に命日だからといってやってはいけないことはありません。
強いて言えば、お墓や仏壇が無いから、お墓が遠いから供養できないと決めつけてしまうことでしょうか。
亡くなった方が一番悲しむのが、自分が忘れられてしまうことだといわれています。
一番の供養は、故人を忘れないという気持ちであり、感謝の想いを伝えること。
命日には、あなたの気持ちを心を込めて届けてみてはいかがでしょうか。
命日のお供え物について
お墓や仏壇などにお供え物をする際に、どんなものをお供えするのがよいのでしょうか。
仏教でのお供えは「香・花・灯明・浄水・飲食(おんじき)」の五供(ごくう)が基本ですが、命日には「五供」以外にもお菓子や果物を含めた特別なお供え物を供えます。
故人が好んでいた食べ物やお花、線香を供えることが一般的で、お酒やタバコのような嗜好品の好物をお供え物に選ぶのもおすすめです。
果物の場合、何にするか迷ったら丸い形状の果物を選んでみましょう。
みかんやリンゴ、メロンなど円形の果物は、「縁」を結ぶとされ、古くからお供え物に良いとされています。
なお、仏教では「殺生をしてはならない」という考えがあるため、魚や肉などは避けるのがマナーとなっています。
また、お墓へ供える食べ物は、動物に荒らされたり、傷んだものを放置しないように持ち帰るのがマナーです。
仏壇へは、長時間お供えすることで、仏壇が汚れたり匂いが部屋中に充満しないように、できるだけ日持ちするものを選びましょう。
お花も白、黄色、紫、赤、ピンクを合わせた5色から日持ちする花が選ばれるのが一般的です。
その中で水仙のような毒のある花、ユリなど香りの強い花などは避けたほうが良いとされていますが、最近では、生前好きだった花を供えて自由に供養することも多くなってきています。
特別な日ですから、いつも以上に華やかにしてみてはいかがでしょうか。
故人が生前、どんな食べ物や飲み物が好きだったか思い出したり、どんなお花だと喜びそうかなど、ご家族や集まった親戚が話しあってくれることが、故人にとっては何よりも嬉しいことかもしれませんね。
まとめ
今回は、命日の意味や過ごし方、供養の方法などについて解説してきました。
最後にまとめとして振り返ってみましょう。
【「命日」「祥月命日」「月命日」の意味とは】
- 「命日」・・・故人が亡くなった日
- 「祥月命日」・・・翌年以降の「命日と同じ月日」
- 「月命日」・・・祥月命日以外の月の「命日と同じ日」
【祥月命日にすること】
- 法要をおこなう
- お墓参りに行く
- 塔婆供養を行う
- 仏壇の掃除をする
【月命日にすること】
法要をすることはなく、お墓や仏壇をきれいにして、故人が好きだったお花や食べ物などをお供えし、お線香を上げて供養することが多い
【命日のお供え物】
「香・花・灯明・浄水・飲食(おんじき)」の五供(ごくう)が基本、命日にはさらにお菓子や果物など特別なお供え物を供える
なかなか時間を取れない方、お墓や仏壇をお持ちでない方もいらっしゃると思いますが、そのような場合は、故人を思い出し手を合わせるだけでも構いません。
一番の供養は、故人を忘れないという気持ちです、命日には、あなたの感謝の気持ちを心を込めて届けましょう。