年忌法要という言葉をご存知でしょうか。
言葉を聞いたことがあっても、どんなものかよく分からないという方もいらっしゃるでしょう。
また、法要に参列した経験があっても、自分が施主側となって準備をすることに慣れている方は、そう多くはありませんよね。
- どのタイミングでいつまで行えばいいの?
- 実際どんな準備が必要か知りたい
- お布施や引き出物の相場って?
この記事では、そんな疑問について、必要な知識や情報をわかりやすく解説していきたいと思います。
あらかじめ知っておきたい方は、ぜひ参考にされてくださいね。
年忌法要の意味と数え方とは
年忌法要とは、節目の祥月(しょうつき)命日(亡くなった同月同日の命日)に行う法要のことです。
具体的には、僧侶に読経してもらい故人を偲び供養を行う仏教的な儀式のことを指しますが、一方、法要と法要後の会食までをあわせた一連の行事を「法事」と呼びます。
亡くなって1年目の一周忌、2年目の三回忌、その後、七回忌(6年目)、十三回忌(12年目)、十七回忌(16年目)、二十三回忌(22年目)、二十七回忌(26年目)と3と7の年度に行います。
一周忌が満1年目の命日のため、三回忌は満3年目の命日?と間違えそうですが、三回忌からは数え年で行います。
つまり、三回忌以降は回忌数から1年を引いた年が法要を行う年ということです。
宗派によって異なりますが、三十三回忌をもって、故人の年忌法要を終わりとする「弔い上げ」になるのが一般的です。
それでは、具体的にどんなことをするのかみていきましょう。
一周忌(満1年目)
一周忌は年忌法要の中で最も大切な法要とされ、一周忌が終わると喪が明けるということになります。
家族や親族と共に、生前に故人とご縁のあった友人や知人も招いて行われます。
自宅や寺院、法要会館などで法要を行い、お墓参りをして、最後に会食を行うのが一般的な流れです。
<法事の流れの例>
・僧侶入場と施主の挨拶
・読経と焼香
・僧侶の法話
・お墓参り
・会食
・施主から終了の挨拶
・引き出物を渡して解散
三回忌(満2年目)
三回忌も、一周忌と同様に親族や故人と親しかった方を招いて法要とお墓参り、会食を行うのが一般的。
ただし最近は、地域や親族の考え方によりますが、家族と親族のみで行うことや、家族のみで行うケースも増えてきているようです。
七回忌(満6年目)
一周忌や三回忌と比べると規模が小さい法要になるケースが多く、家族や親族中心で行うことが一般的。
基本的には、僧侶による読経や焼香、お墓参り、会食などを行いますが、最近では家族だけで行うことや、法要を行うのではなく、家族や親族で会食をしながら故人を偲ぶということもあるようです。
十三回忌(満12年目)から二十七回忌(満26年目)まで
十三回忌から二十七回忌までは、家族や親族のみで行なうのが一般的。
近年は、離れて暮らす家族が増えたことや、親族が定期的に集まることが難しくなってきていることから、十三回忌以降は省略するなど簡素化する傾向にあります。
三十三回忌(満32年目)
地域や宗派によって、五十回忌(満49年目)、百回忌(満99年目)、百五十回遠忌(満149年目)の年忌法要を営むところもありますが、一般的には三十三回忌を最後の法要とし弔い上げをします。
これは、どんな魂でも三十三回忌法要に辿り着くころには、無罪放免となり極楽浄土へ行く事ができるという仏教の教えから一つの区切りとされているからです。
そのため、二十七回忌まで簡素化していた場合でも、親族を招いて一周忌などと同様に法要、お墓参り、会食を行います。
法要は長い期間にわたり行う大切なものですが、最近では三十三回忌での弔い上げというのが難しくなってきているため、十七回忌などを節目として弔い上げとすることも増えてきました。
結局、何回忌まで行えばよいだろうかと迷う方もいらっしゃると思いますが、ご家庭や宗派の考え方によっても異なるため、親族の方とも充分話し合って、無理のない形で行いましょう。
大切なことは年忌法要を行えない場合でも、普段から故人を偲び、冥福を祈りながら手を合わせ続けることだと思います。
年忌法要に必要な施主側の準備
規模の大きな法要を営むことが多い一周忌と三回忌を例に、準備について解説します。
祥月命日の2〜3か月前から余裕をもって始めることをおすすめします。
日時と会場を決める
基本的に年忌法要は、故人の祥月命日に行なわれますが、参列者の都合を考えて命日に近い休日に行なうことが増えています。
その場合は前倒しして、できるだけ命日に近い日を選びましょう。
最初に、僧侶の都合を確認し、日時と会場の希望を伝えた上で、相談しながら決めていきます。
法要の会場には、自宅、寺院、斎場、墓地、霊園などがあります。
選ぶ際は、お墓や食事会場に近いかを考慮し、会場が寺院以外の場合は、当日の会場までの交通手段についても相談しておくと良いでしょう。
また、自宅以外で行う場合は、会場の空き状況も関係しますので、余裕を持って日時や場所を決めることが望ましいです。
招待する人へ案内状を発送する
家族、親族のみで行なう場合は、電話連絡でも問題ありません。
ただし故人の友人、知人、会社関係者を招くなど規模が大きい場合は、往復はがき、または返信用のはがきを封入した封書などで案内状を送付しましょう。
案内状には、故人の名前と何回忌の法要なのか、日時と場所、お墓参りや会食の有無、返信期日などを記載します。
案内状は、返礼品を注文する業者や葬儀社、仏壇仏具店などに依頼することができます。
引出物を手配する
案内状の返信がきたら、参列者にお礼として渡す引き出物を準備します。
これは香典へのお返しという意味も含んでいます。
香典の2分の1〜3分の1程度の金額の品物を用意しますので、相場として3千円〜5千円ほどの返礼品が多いようです。
香典返しには「不祝儀を残さない」という考え方があり、消え物が一般的とされ、お茶や海苔、お菓子、調味料、石鹸、洗剤などが選ばれます。
近年は、遠方からきた参列者の荷物にならないように、カタログギフトの利用も増えています。
会食する場合は食事の手配をする
斎場の場合は、施設内のレストランなどを利用できますが、自宅や寺院で法要をおこなう場合は、自分たちで準備するか仕出し業者などに予約注文をし、時間に合わせて配達してもらうことが必要です。
なお、寺院で行う場合には、仕出し業者が指定されていることがありますので、事前に確認しましょう。
会食費用の相場は、法要の規模によっても異なりますが、料理と飲み物を合わせて1人当たり3千円〜1万円くらいです。
ただし、必ずしも会食の席を設けなければいけないということはなく、会食を行わない場合は、参列してくださった御礼として引出物と一緒に折り詰めの料理とお酒の小瓶を渡すことが多いようです。
供花や供物などを準備する
寺院で法要を行う場合は、ご本尊への供花と供物を用意します。
供花とは別に本堂に飾る花が必要な場合もありますので、僧侶との打ち合わせのときに確認しておきましょう。
供物には、日持ちするお菓子や果物などを選びます。
法要後に分けて持ち帰ってもらうこともあるため、個包装で個数が多めのものがおすすめです。
また、自宅や別の会場で法要を行う場合は、寺院や葬儀社に必要な物について併せて確認すると安心ですね。
もし、故人の供養のためにお墓に新しい塔婆(お墓の後ろに立っている薄い板)を立てる場合には、あらかじめ寺院に依頼しましょう。
僧侶に渡すお布施の相場
法要の際は、故人を供養してもらうことへの感謝の気持ちとして、お金をお布施としてお渡しします。
お布施の相場は、地域や寺院によって異なりますが、一周忌で3万〜5万円、三回忌以降は1万円〜5万円、弔い上げをする場合には5万円〜10万円とされています。
3万円、5万円、7万円というように割り切れない数字で包まれる方が多いようです。
また、寺院以外の場所で法要を行うのであれば、お布施とは別にお車代として5千円〜1万円をお渡しします。
ただし、ご家族が送迎する場合は必要ありません。
通常、会食が済んだ後に「お布施」「お車代」としてお渡ししますが、会食に参加されなかったときは「お膳料」として5千円〜1万円も添えます。
なお、お布施を渡す際には、小さなお盆に乗せて渡すのがマナーですが、用意できない場合には、袱紗(ふくさ)の上に置いて、僧侶から見て正面になるように渡しましょう。
お布施の書き方
お布施は奉書紙(ほうしょし)と呼ばれる和紙に包むのが伝統的ですが、水引がついていない白い封筒でも問題ありません。
郵便番号の記入欄がないものを選びましょう。
お布施の表書きは、封筒の上段真ん中に「お布施」と記入し、下段に施主のフルネームを記載するのが基本ですが、「〇〇家」と書く場合もあります。
お車代やお膳料をお渡しする場合は封筒を別に用意し、同じように上段には「お車代」「御膳料」、下段には名前を記載しましょう。
裏書きについては、お布施袋に中袋がなく、封筒に直接お金を収める時は裏書きが必要ですが、中袋にお金を包んでからお布施袋に収める場合は、裏書きが必要ありません。
「金額」「氏名」「住所」を、裏書きか中袋かどちらかに書くことになります。
書き方としては、裏書きの場合は縦書きで右側に「金○○圓也」と漢数字の旧字体で金額を書き、氏名と住所は、左下側に記入します。
中袋がある場合は、表側の中央に金額、裏側に住所と氏名を記載します。
なお、お布施の場合は悲しみを表すものではなく感謝の気持ちを表すものとされているため、通常の黒い墨を用いて筆で書くのがマナーです。
毛筆が苦手な方は、ペンタイプの筆ペンを使っても問題ありません。
年忌法要での遺族側の服装
喪服には正喪服・準喪服・略喪服の3つの格式がありますが、三回忌までは正喪服または準喪服の着用が望ましいとされています。
ただし、正喪服とされる和装やモーニングを持っている人は少なくなってきていることから、最近では招く立場の方も、準喪服を着るのが一般的です。
男性の服装
モーニングコートの着用が正喪服にあたりますが、ブラックスーツで構いません。
白のワイシャツに黒ネクタイ、靴下やベルト、靴も黒で統一します。
光る金色の時計やバックル、ワニやヘビ皮のような皮製品をを身につけることは、マナー違反になるので気をつけましょう。
七回忌以降は、準喪服を着用する男性は少なく、ややカジュアルな略喪服を着用する方が多いです。
黒色や紺色といった無地のダークスーツに、白のワイシャツと落ち着いた色・柄のネクタイを合わせるとよいでしょう。
女性の服装
準喪服のブラックフォーマルのスーツがよく選ばれ、パンツスーツよりもスカートの方が正式なものとして扱われやすい傾向にあります。
また、スカートやワンピースを着用する場合には、座っても膝が隠れる丈であることがマナーです。
ストッキングやバッグ、靴なども黒を身につけます。
派手なアクセサリー、皮製品を身につけることはマナー違反になるので注意しましょう。
七回忌以降は、男性と同様に、略喪服を着用する方が多く、黒、グレー、濃紺のようなダークカラーのワンピースやスーツ、アンサンブルなどが一般的です。
ただし、略喪服といっても光沢のあるものや露出の多いものは避け、メイクも色味やツヤ感を抑えるようにしましょう。
学生・子供の服装
学生や子供の場合、制服があれば正式な喪服になります。
制服がない場合は、基本的に紺やグレーなど落ち着いた色で大人と同様の色使いを心掛けましょう。
男子は、白無地のシャツにブレザーなどの上着とズボン、女子も、白のブラウスにブレザーなどの上着とスカート、ワンピースなどシンプルな服装がふさわしいとされています。
まとめ
今回は、年忌法要の数え方やスケジュール、行う際の準備、お布施の相場、服装のマナーなどについて解説しました。
最後に主なポイントをまとめますので、確認してみてくださいね。
【年忌法要の意味と数え方】
祥月命日に故人を偲び供養するため営むもので、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌と3と7の年度に行う。
三回忌以降は回忌数から1年を引いた年が法要を行う年。
【年忌法要に必要な施主側の準備】
・日時と会場を決める
・招待する人へ案内状を発送する
・引出物を手配する
・会食する場合は食事の手配をする
・供花や供物などを準備する
【お布施の相場】
・一周忌は3万円〜5万円
・三回忌以降は1万〜5万円
・弔い上げをする場合は5万円〜10万円
【年忌法要での遺族側の服装】
三回忌までは、男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマルのスーツの準喪服を着るのが一般的。
七回忌以降は、男女とも略喪服を着用する方が多い。
学生や子供の場合、制服が正式な喪服となるが、制服がない場合は、大人と同様の色使いを心掛ける。
法要に対する考え方は、ご家庭や地域、また宗派によって異なりますが、家族や親族、故人とご縁の深い方と共に、心のこもった供養をしたいものですね。